『南アフリカらしい時間』が描く“清々しい人々”

 植田智加子さんの本を出したいと思いはじめてから早数年、念願の『南アフリカらしい時間』をようやく刊行することができました。

植田さんとは大学時代の知り合いですが、当時はそれほど親しかったわけではなく、彼女前著『手でふれた南アフリカ』を出したことも偶然高田馬場で彼女とばったり出会ったときに初めて知りました。さっそく読んでみると、彼女が描き出す南アフリカの人々すっかり魅了されました。しかし、そのころは看護系の出版社に勤めており、その後勤めた出版社も分野が違うため、彼女の本を自分が編集できるとは思ってもいませんでした。さまざまな縁で、こうやって自分の手で彼女の本を出せたことに感慨深いものがあります

マンデラ大統領はもちろんのこと、本書で描かれる南アフリカの人々には、人を惹きつけてやまない魅力があります。植田さんは鍼灸師であり、普段は日記さえつけない人だそうです。しかし、南アフリカでのすばらしい人々との出会いを自分だけのものとするのはもったいないと思い、書きはじめたと聞きました。

その中でとくに私が惹かれたのは、本書の「息子のきょうだいたち」「ラマダンが済んだら」に登場するシャイーダです。植田さんの息子さん(よしきくん)のお父さんの最初の妻である彼女は、植田さんが子どもを産むと、すぐに援助の手を差し伸べます。「子どもたち同士がきょうだいということは、私たちも家族なのよ」。そして、普段はおくびにも出さない、反アパルトヘイトの闘士としての姿を、何気ない一言に垣間見せてくれます。その一言、ぜひ本書をお読みいただき、味わっていただければと思います。

植田さんが飾らないシンプルな筆致で描きだす人々に感じるのは、清々しさです。そして彼らが、たとえ過酷な状況にあっても、人生を心の底から楽しんでいるんだな、ということが文章のすみずみから伝わってきます。マンデラ氏が植田さんに「ただ楽しんでおいで。それが一番大切なことだ」と言ったように。(K)


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